『IRとは?』詳しく実務の仕事を解説!

目次

はじめに

IRとは?について考える。上場企業or上場を目指す会社(スタートアップ等)しか関係の無いこの仕事。スタートアップだと専任のスタッフはおらず、CFOや経理が兼任してたりするのが多いと思う。上場企業でも専任の人が必ずいるわけではない。
こんな特殊な仕事について、言葉の定義から考えてみる。

リサーチ

いつもの如く、辞書・ウィキペディア・ネット記事を調べてみた。

【辞書】

投資家向けの広報活動のこと。企業を投資対象としてとらえる投資家が増えるとともに、経営判断の妥当性やその根拠を、企業側から投資家に対して広く明確に伝える必要性・責任が高まっている。とりわけ個人投資家が増えている昨今では、こういった企業の迅速かつ正確な情報開示が投資の指標としても大きな意味を持つため、IRの質が問われていると言える。日本でもIR活動に注力し、専門の担当部署を設ける企業はかなり多くはなっているものの、現状では形式的な情報開示にとどまっているとの声もある。

引用元:コトバンク ASCII.jpデジタル用語辞典

株主に対して的確な経営情報を提供するための活動の総称。具体的には、決算や事業に関する説明会の開催、年次報告書など資料の作成、ホームページ上の情報開示など。対象は投資家や証券アナリストが中心だったが、現在では個人投資家向けのIR活動も増えている。株主総会を広義のIR活動と位置づける例も増えている。

引用元:コトバンク (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」

《investor relations》投資家向け広報活動。個人株主、機関投資家向けのディスクロージャー(情報開示)よりさらに踏み込んだ形の詳しい情報を公開し、企業と株主間の理解を深めるのが目的。

引用元:コトバンク デジタル大辞泉

【ウィキペディア】

インベスター・リレーションズ(英: Investor Relations、略称:IR)とは、企業が投資家に向けて経営状況や財務状況、業績動向に関する情報を発信する活動をいう。日本では「投資家向け広報」とも日本語訳されているが、IRという頭字語も定着している。

引用元:ウィキペディア

【ネット記事】

IR(Investor Relations:インベスター・リレーションズ)とは、企業が株主や投資家向けに経営状態や財務状況、業績の実績、今後の見通しなどを広報するための活動を指します。具体的な活動としては、ホームページ上における情報開示や、ディスクロージャー資料の送付だけでなく、決算説明会や各種説明会を開催したり、工場や施設などの見学会を実施したりするなど、企業によっては独自のIR活動を行っているところもあります。日本では、1990年代後半あたりから積極的にIRに取り組む企業が増えてきました。

引用元:SMBC日興証券

IR(Investor Relations)とは、企業が株主や投資家に対し、財務状況など投資の判断に必要な情報を提供していく活動全般を指します。最近は、株主や投資家に対するだけでなく、顧客や地域社会等に対して、経営方針や活動成果を伝えることもIRのねらいの一つになってきています。
企業はIR活動を通じて株主、投資家、顧客などと意見交換することで、お互いの理解を深め、信頼関係を構築し、資本市場での正当な評価を得ることができます。逆に、外部からの厳しい評価を受けることで、経営の質を高めています。また、近年、IR活動の一環としてホームページ上にIR専用のサイトを設ける企業が増えています。

引用元:国土交通省

リサーチ結果

言葉の定義としては、IRとは投資家への広報活動と定義する。IRについてはどの媒体も定義が大体同じだった。英語をそのまま使っている言葉なため、元の意味がはっきりあったからだろう。
少し補足すると投資家には2種類あって
①今の投資家:今現在、自社の株を持ってる投資家。株主と同義。
②未来の投資家:未来、自社の株を持つ可能性がある投資家。
である。

上場企業に勤務していた際に、IRにも関わることがあったため、経験談についても書いていく。

実務

上場企業で経理をやっている際に、IRの仕事にも一部関わることがあったので、実体験を元に実務について書いてみる。IRを専門にやってらっしゃる方からすると「全然違う!」と思われることも多々あると思うので、こういう会社もあるんだと一例程度に思って欲しい。

その会社は専属のIR担当はいなかった。人事異動などで人がかわることもあったが、経理部長が担ったり、財務担当が兼任したりという感じで担当者が変わる程度で回していた。兼任の人が主だが、個別の業務については経理のメンバーが担ったりと、経理周りのメンバーで協力して担ってる感じ。

実際に行うこととしては「直接あって話す」「電話に対応」「決算説明会を開く」「IR用のHPを監修する」などであり、これらを投資家の種類ごとに分類して対応する。

分類としては以下
■既存投資家
・株を持ち続けてもらう(供給を増やさず、株価を維持する。)
・株を追加で買ってもらう(需要を増やし、株価を上げる。)
■未来の投資家
・株を買ってもらう(需要を増やし、株価を上げる。)

実際の業務としては四半期決算の度に来る感じだった。ザックリの全体の流れとしては、以下の流れ。

スケジュール

①決算説明会準備:毎四半期末の前に決算説明会の準備をする。会場を押さえたり、協力してもらう社内のメンバーを押さえたりする必要があるため。
 ↓
②資料作成:決算説明用の資料作成。決算数値が確定する前から作りはじめ、固まる頃には素案ができそこからは経営者と議論しながら全体のストーリーや細かな部分を詰めていく。
 ↓
③決算開示対応:決算短信が開示された日から投資家からの問い合わせが来る。既存・新規関係なく電話が来たりメールが来たり一気にする。
 ↓
④決算説明会:現在はWEBでやる会社も多いが、当時は会場を借りてやっていた。場所の確保~当日の美品、配布資料、人員の確保配置等一通りの準備が必要。
 ↓
⑤投資家訪問:決算説明会も終わり、少し落ち着いた辺りから投資家の訪問を行う。基本は既存投資家だが、過去大量に保有していたい投資家や、新規で問い合わせがあった先、話してみたい先など様々。

会社によって違うと思うが、私が関わる中でのIR業務はこんな感じだった。流れにそって、具体的に話していく。

①決算説明会準備

毎四半期前に決算説明会の準備を開始する。当時はリアルの場所で行っていたため、会場や会場の係りのメンバーを先に押さえておく必要があるため、そこだけ先に準備を開始していた。本番は四半期末の決算日翌日から。

②資料作成

四半期末がきて、個別の決算が締まった辺りからジワジワ始まって行く。個別が締まりはじめると先ずはそれぞれの決算数値に目を通す。そして今Qの決算がどんな感じか?を実績を元にイメージをしていく。

連結や決算整理等も終わり、一旦数値が確定すると決算説明用の資料作成に入る。この資料はWEB上に載せて見れるようにするものと、決算説明会当日に使用する資料がある。基本は同じだがWEB上に載せるものは資料だけで内容がわかるものにしなければいけない。

ざっと作ったら、そこからは経営者や経理・財務の責任者と投資家に対してどう見せるか?同説明するか?を議論しながら作っていく。資料を作りながら、関係者全員が株主・投資家に対してどのように話そうか?どういうストーリーにしようか?ということを考え、コンセンサスを社内でとっていく感じ。資料を作ること自体より、関係者同士の認識合わせが重要な感じだった。

③決算開示対応

資料が完成し、決算短信が開示されるとここからが本番。株価は急激に動き、投資家からの問い合わせも一気にくる。担当者は2人で全てその人が全ての質問に答えていた。簡単な質問だと他の経理メンバーでも答えれそうなこともあるがそれは絶対にNGだった。理由は、他の人が変に答えると関係者でコンセンサスをとっていたストーリーとは違う流れで話してしまって、投資家の方を逆に混乱させてしまうことがあるためである。

④決算説明会

開示後の問い合わせに対応しながら、決算説明会の準備を行う。決算説明会当日まで資料の細かな調整を経営者と行う。

当日の説明は社長が行うが、常に近くに控えていてあらゆる質問に対する回答する必要があるため、事前に想定Q&Aは一通り準備をしている。

ちなみにだが、リアルでの決算説明会は当時は投資家ななら誰でも来れた。受付で自社の名刺を渡すのが慣例で、名刺さえもらえれば中に誘導していた。

⑤投資家訪問

決算説明会が終わるとここからは投資家訪問。担当者がアポをとり、社長と担当者で手分けして回っていた。私は一度社長に同行させて頂き、1日投資家訪問をさせて頂く機会があった。

そういえば会社は全て東京の丸の内にあり、タクシーで効率良くまわっていた。自社も丸の内にあったため近くの大きなビルをひたすらまわった。横移動より縦異動の方があったような気がした。

日本で投資をする機関投資家は全て丸の内に集まってるんだなと感じた。

また、動向させて頂く際にタクシーでいろいろ教えてもらった。信託系、外資系、銀行系等でそれぞれ色が違うことや、あの会社は昔自社で大儲けした会社等、当時の私にとっては世界が違い過ぎてへーという感じだった。

まとめ

IRという仕事は本当に特殊な仕事だなと感じた。これを専門でやろうと思うと、働ける会社はとても限られてくると思う。上場企業でも専任がいない会社は多いからだ。逆に専任を置く会社は投資家とのコミュニケーションを重視しており、株価も気にしている会社だと思うので専門的な知識・経験がとても求められる気がする。

特に今はIRを重視する会社で海外の投資家無視する会社は無いため、英語は必須になる。

超大企業で専門性を極めたい人にはIRという仕事はありかもしれない。

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