守りの経理とは?

目次

守りの経理

仕事の種類

そもそも経理の仕事って?

経理の石田

「基本・守り・攻め」の3種類ある

経理の基本の仕事は「記録・報告」ですが、現在の経理にはそれ以外の役割も必要とされており、その役割を大きく分けると「守り」と「攻め」に分類されます。記録・報告の部分は第三者的な視点で客観的に行う業務であるため「守り・攻め」には分類しにくい部分になります。ここでは特に「守り」の部分について詳しく解説していきます。

基本と攻めについてはこちらの記事をご覧ください。

 

守りの仕事って?

守りは何をする?

経理の石田

会社の資産を守る!

「経理のイメージと言えば守り」という方も多いのではないでしょうか。経理以外の部署の方で、経理と関わることがあるのは、ほぼこの部分しか無いというのが大きいと思います。経費精算や、外部への支払いで間違いや不正が無いかをチェックされたり、社内の稟議が正しく上げられていなければ差し戻されたりという部分です。経理業務の全体で言うと以下の図の部分になります。

では、これらの業務は何のために行われているのか?というと「会社の資産を守る」という目的のために行われています。また、毎回の申請のチェックだけではなく「社内ルール・フローの設計・運用・管理」の全般を担っています。

1,会社の資産を守るという点について、誰から何を守るのか?と考えると
・誰から:社内外のミスや不正
・何を :会社の資産(会社そのもの)
になります。

2,社内ルール・フローの設計・運用・管理という点について、具体的な内容は。
・設計:ミス、不正が発生しないようなしくみを作る。
・運用:設計通りに間違いをせず運用を行う。
・管理:随時、ルール・フローに欠陥や改修が必要無いかチェックし、必要があれば改修する。
となります。

上記について詳しく忌みていきます。

 

1,会社の資産を守

誰から?

誰から守る?

経理の石田

社内外のあらゆるリスクから!

会社の資産を守ることが経理の仕事の一つですが、守る相手は外部だけでなく内部も対象になります。また、悪意のある犯罪者だけでなく、うっかりミス等も対象になります。

社外(不正)
社外からの不正については、社内の社員が共謀しているパターンがあります。余分に請求され支払うことで、その一部を社員にフィードバックするという方法です。最近起こった楽天でのパターンはこれにあたります。

不正とは少し違いますが、反社チェエック

社外(ミス)
社外については、請求内容の確認が一番大きなところです。間違った請求書をそのまま払ってしまわないように、内容におかしなものが無いか?というチェックを行います。実際にあった例でいうと、二重請求や金額間違い等があります。二重請求ですと、毎月同額のもので契約の開始月や終了月に日付を間違うことで起こったり、締め日のタイミングで支払ったにもかかわらず、支払済分も未払いとして請求され、2重で支払ってしまったりということがあります。金額間違いについては、見積もりを何度も修正しており、最終版ではなく少し前の見積もりで間違って請求してきたりということがあります。

社外(リスク)
不正でもミスでも無いものに、リスクというものがあります。具体的には与信チェック反社チェックやがこれに当たります。

与信チェックとは、支払いが後になる場合に、商品を販売した場合にそのお客様から売上金を回収できるか?のチェックを行うことです。商品は販売して渡したものの、いつまでたっても払ってくれないということは様々なお客様と関わっていると普通にあります。これはミスでも不正でも無いですが、発生する可能性としてはある事象であるため「リスクの管理」に当たります。

反社チェックとは、取引先が反社会的勢力ではないか?のチェックをすることです。反射とはそもそも取引をしてはいけないという法律があるため、チェックが必要になります。お金と手間と時間がかかるためやっている会社もあればやっていない会社もありますが、BtoBビジネスの上場企業であれば基本的に行っているものになります。

社内(不正)
経理外の人にはあまりわからないところですが、会社が大きくなると社内の不正も普通に起こります。社員数が1000人を超えると毎年数件の法務事案は発生するイメージです。現金を扱うビジネスだとレジからお金を抜いたり、そうでなくても不正な経費精算を申請していたり等です。仕事柄法務との関係も近く、そういった案件についても経理的な処理が必要になるため関わることが日常的にありました。

できる限り不正ができない仕組みを作るのは理想ですが、どうしても起こってしまうことはあります。その際に不正に気づける状態にしておくのは大事なポイントです。

社内(ミス)
そもそもミスが発生しないフローにするというのが理想ですが、そうするとどうしてもルールでガチガチになってしまい、普段の社員の業務に余分な負荷をかけてしまうことになるため、なかなかそうも出来ずにいるのが各社の実際のところかと思います。

基本的な方法としては、財務と経理を分ける、ダブルチェックをするといった方法です。これをするだけでも大きくミスの可能性は減らすことができます。

 

何を?

何を守る?

経理の石田

お金+α

守る対象になるものは、基本的にはお金ですが、それ以外にも固定資産や在庫などがあげられます。在庫があるビジネスですと、一部を個人的に持って帰ったり使ったり等があったりします。これらのことからも資産を守る必要があります。主なものについて解説します。

現金・預金
不正やミスで間違ったお金の出金をしない、させないというのが基本です。預金の引き出しについては、不正やミスは起こりにくいですが、小口現金など現金を扱う場合はリスクが急激にあがります。小口現金を扱う場合は日次での締め処理が基本的に必要になります。

固定資産
工場の機械・事務所の建物から、社員が使用しているPC・スマホまでいろいろあります。資産として管理することで、横領や不正利用から守ります。また、建物等は保険についても経理で扱い対応することがあります。

在庫
意外と発生し易いのが在庫。お金を取るのは明らかにダメなのは誰の目にも明らかですが、長年売れずに残っている不良在庫であればちょっとぐらいはということで起こりやすいポイントです。継続的に管理をし、仕掛損の率なども把握することで、不正を発見できる体制を整えるのが重要です。

 

2,社内ルール・フローの設計・運用・管理

守り方

どうやって守る?

経理の石田

仕組みと運用で守る!

会社の資産を守る具体的な方法としては、仕組み運用で守ります。そもそもミスや不正が起こらない仕組みを作り、正確にリスクを管理しつつ日々運用をし、欠陥が見つかれば随時改善します。

この部分はバックオフィス全体が関わる部分であるため、明確にどの部署の役割と言いにくい部分ではありますが、確実に経理は関わる部分になります。

 

仕組み

社内のルールやフローは色々なものがありますが、それらを法律やルールを守って、できる限りミスや不正が起きず、かつ社員の負担が少なく分かり易い方法に設計する必要があります。

こちらについても上場・非上場や業種等によって守るべき法律やルールが変わるため、内容も大きく変わってきますが、基本的にはワークフローと言われる起票と承認の流れになります。

上記をまとめると、仕組みを作る際に注意すべきポイントとしては
1,法令遵守
2,リスク削減
3,工数削減

の3つがあります。

 

運用

設計された仕組みを、正確にその通り運用することも大事なポイントです。どれだけ良い仕組みが作れたとしても、ルール通りに運用されていなければ何の意味もありません。

 

まとめ

経理の守りの仕事は、会計的な部分だけではないため、必ずしも経理がやるべきと決まっていない業務です。しかし、経理的な視点が無いとうまく出来ないということも事実です。よって、実務においてはバックオフィスの各部署と協力して作り、運用していくことが多いです。

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