経理の仕事は、会社の数だけ仕事が増える

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はじめに

当たり前の話だが、経理の仕事は会社の数だけ仕事が増える。会社の数というのはグループ会社のこと。「一緒にやるから効率化できるのでは?」と思われがちだが、意外とそうでもない。まとめた分だけ効率化できることはあるが、半分になる訳ではない。1+1=2ではないが、1+1=1.1程効率化出来るわけではなく、頑張って1.3ぐらいが限界。では何故そうなのか?効率化するポイントはどこなのか?について考える。

理由

理由としては以下があげられる
1,会社が別なら作業も別
2,連結作業が発生する
3,上場基準に合わせる

というところ。

1,会社が別なら作業も別

当たり前っちゃ当たり前の話だが、会社が別なら作業は別になる。A社とB社でやってる事業が全く同じでも、売上の計上は会社が別なら別になる。なので、基本的に元の作業が減ることは無い。会社が同じなら売上も費用も、固定資産の管理も一緒にやるなら作業は減るが、法人が別なら作業は減らない。

例えば、売上100億✕1社・1事業の会社と、売上10億✕10社・10事業=100億のグループ会社を比較すると、経理業務のボリュームは恐らく10倍以上違う。

2,連結作業が発生する

連結という追加の作業が発生する。1社だけなら1社の決算のみだが、グループ会社が1社でもあれあばかかる工数は「社数分の決算+連結」になる。そしてこの連結という作業が経理業務の中でもトップクラスにややこしい業務であるのも仕事が増えるポイント。

3,上場基準に合わせる

上場企業が非上場の会社を買うと、逆に業務が増えることすらある。上場と非上場では会社のルールの厳格さが全く違う。経理の視点では完全に別世界だ。わかりやすく言えばプロとアマぐらいの違いがある。そして、上場企業が非常上の企業を買収した場合は、非上場の会社の基準を上場レベルまで上げないといけない。グループにおける重要性が低ければそこまでやらなくてもいいことがあるが、基本は必要になる。そうなると、経理業務は確実に増える。

効率化ポイント

会社の数だけ仕事が増えることはわかった。では、その中でも効率化できるポイントはあるのか?について考える。実際に複数社の決算を1人でやったり、会社を買収して経理周りの整備をしたこともあるが、大きな武器は正直ない。具体的な方法としては
1,人を1箇所に集める
2,地道に効率化
3,法人を減らす

ぐらいだ。

1,人を1箇所に集める

会社ごとにいる経理メンバーを1つの部署としてまとめることで、少し効率化できる。1人あたりの業務範囲を限定することで、それぞれが得意な部分の業務をメインにし、それぞれのメンバーの力が発揮しやすい状況にすることで少し業務が効率化される。

2,地道に効率化

個別の業務を1つ1つ効率化していく。これは1社の場合とあまり変わらないが、グループであることで効率化出来るポイントもポツポツとある。ただこれも明確に沢山あるわけではなく、探すとチョロチョロ出てくる程度。

3,法人を減らす

一番の方法はこれ。元も子もない方法だが、経理の業務を減らすという意味では一番効率的。会社が増えた分仕事が増えるということは、逆に言えば会社が減った分仕事は減る。

例えば、全く同じ事業をしている会社なら、合併すればシンプルに業務は半分になる。違う事業の場合は、利益は事業毎に見たいので売上と原価までは別にする必要があるが、PLの販管費以下、BS全般は要望や必要がない限り一緒にできる。

さいごに

これは会社のサイズに関わらず当てはまるのがポイント。売上10億に満たないベンチャー企業でも、会社が複数あればその数だけ経理コストは倍増する。また、事業ごと、商材毎にPLの数値でより細かく見たい場合などもどんどん工数は増えていく。

実際に私が経験し、大変だったことなので書いてみた。「会社増えればバックオフィスの比率は減るでしょ?」と考えている人がもしいれば、それは全く違う、むしろ逆。ということを知っておいて頂けると幸いだ。

会社の売上が上がってもそこまで工数は増えない、でも社数が増えると売上が上がって無くても工数は爆増する。

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