はじめに
経理の仕事は積み上げ型だ。これは営業から経理になったからこそ気付いた点かもしれない。営業なら、月が変われば良くも悪くも0に戻るが、経理の場合は全て引き継がれる。ある意味真逆の仕事だと感じた。そんな積み上げ型であるという話。
理由
積み上げ型である理由としては
1,時間が経っても消えない
2,仕組みが大事
だからだ。
1,時間が経っても消えない
これは経理の大きな特徴。処理をミスすれば、そのミスはずっと残る。無理やり消しても、後で見返され、内外から指摘される。簿記の仕組みはよくできていて、内容が不明なものがあればBSにずっと残っている。これが時間が経っても消えない理由。金額が間違った場合も、貸借が合わず部分的にBSに残る。
最初は本当にこれがしんどかった。未経験から経理をはじめ、最初はミスももちろんする。翌月も同じ業務を自分がするため、前月の自分のミスが今月の自分の業務に響いてくる。そのせいもあり今月もまたミスをしてしまい、前月のミスも解消出来ていない。するとその翌月は前月・前々月のミスが残ったままの作業になるため、数字がなかなか合わず更に苦しくなる。
営業なら目標達成できなくても、翌月はまた0から新しい気持ちで切り替えるチャンスがある。しかし経理では、ただただ溜まっていき、どんどん負のループに入っていく。
2,仕組みが大事
経理の仕事はルーチンワークが基本で、ルーチンワークは様々な仕組みの上で動いているため、影響が大きい大元の仕組みがとても大事になる。しかし仕組み作りは大変なものが多く時間がかかり、少し頑張ったぐらいでは何も変わらない。よって、毎月地道に改善を繰り返し、少しづつ積み上げていくしか方法が無い。これもまた経理の仕事を積み上げ型にしている要因だ。
ちょっとづつだが改善を続けると、気づいたら業務効率が数倍になっていることも多い。ルーチンワークの時間が減ると、改善に使える時間がどんどん増えていく。結果として正のループに入ると急激に業務改善が進む。
大事なこと
積み上げ型であるが故の業務上の大事なポイントがある。
毎回の『処理』においては
1,毎回きちっとやる
2,小さな問題は早めに摘む
ことが重要であり、『仕組みづくり』においては
3,1つ1つの業務改善
が重要になる。
1,毎回きちっとやる
何よりも先ずは、毎日・毎月の業務をきちっと最後までやること。ちょっと面倒くさい内容が不明なものの確認を、とりあえずの仮受け・仮払い残に置いておいて後回しにしてしまいがちだが、そういうのは大体忘れて翌月も残ってたりする。忘れているので月次後に思い出すこともできず、翌月はマイナスからのスタートになる。
こういうことを1つ1つ無くしていくのが最初のポイント。とにかく毎月不明点は無く、ミスをしても月内に処理をしていれば翌月にマイナスからスタートすることは無くなる。これは常に意識し続けないとついつい忘れがちで、継続してやっていかないといけないので一番大事なポイントだ。
2,小さな問題は早めに摘む
これも後回しにしがちなポイントだが、毎回根気強く継続的にやることで、気付いた頃に大分楽になった気がしてくる。経理の場合、問題は小さいからと言ってほっておいても消えてくれることは無い。基本は逆でどんどん成長していき、爆弾の花を咲かす。気づく時はその爆弾が爆発したときだ。インパクトが大きいので、とにかくその処理に追われ、他の仕事はとまり、とりあえず目の前の問題を収めることができたころには、沢山の小さな目が新たに誕生している。
こうなる理由としては、ルーチンワークがメインであることが大きい。ルーチンワークなので、最初の設定を間違ってるとその後永遠に間違いが増え続ける。面倒くさいが小さいうちに摘んでおけば、爆発後にかかるはずだった工数が0になるため、爆発した場合と比較すると効率が大分上がる。
ちなみに、爆弾のサイズや種類は様々あり、小さなものから大きなものまで場所も様々なところに存在する。爆発してからわかるものもあれば、爆発寸前で誰かが気付き、大掛かりな爆弾処理班が出動することもある。「何故かわからないが常に忙しい」「頑張ってやってる気がするのに何も結果が出てない」と感じる経理のはこのループに陥っている可能性が高い。
3,1つ1つの業務改善
大きく全体の仕組みを変えることも大事だが、先ずは目の前の一つ一つの業務を一つずつ改善していくことが大事。1つのExcel処理、1つのコピペ、1つのクリックを着実に減らし効率化し間違いを減らすことで、気付いた頃に全体としての業務工数が数十%改善される。
ぱっと見無くしても良さそうな処理も、全体を考えると実は必要なことが多い。そのため、無くすことができる業務は限られるが、1つ1つの業務の詳細を簡素に効率化することは以外とできる。
メリット・デメリット
業務が積み上げ型であることにより、いくつかメリットとデメリットがある。
◯メリット
どこまでも高められる
営業のように翌月に0に戻ることがない。そのため、プラスの改善はやればやる程効率化は進んでいく。
✕デメリット
一生残る
ミスをしたらずっと残る。これが経理のしんどいポイント。時間が経っても消えてくれないので、自分の首はどんどん苦しくなる。
変えるのが大変
仕組みの影響が大きく、仕組みづくりには時間がかかる。なのでとにかく変えるのが大変で労力が物凄く大きい。大変で面倒くさいので、変えるべきだとは思うが誰もやらなかったりする。