営業to経理のススメ
営業から経理になった。たまたまの部署異動での出来事だったが、簿記の知識も0の状態での急な異動でビックリしたが、良いことが多かったのでオススメするというそんな話。ただ、向いてない人もいるのでその辺りはご注意を!
勧める理由
勧める理由は4つ
1,会社の全体がわかる
2,ビジネスマンとしての幅がメチャクチャ広がる
3,可能性がメチャクチャ広がる
4,希少性が高い
で、営業をやったからこその良いこともある。ちなみに、営業→経理→営業は全然可能だと思う。
1,会社の全体がわかる
経理は会社の全情報を扱う。そのため、会社の全体像が裏側から見える。特に営業を経験するといわゆる”現場”を知ってるので、実感をもって肌感覚として全体像が見えてくる。最初から経理だと数字の羅列で、現場の人の行動や感情、1件の受注にかけるエネルギーなんかは全くわからないので全然違う。それぞれの行動が全社にどう影響してるのかがわかる。
数字だけ見てると、何故急にわけわからん販管費が急増してるのか?というが全く想像もつかない。しかし、営業を経験してると「これ系の販促は営業のあの人が好きやったな、最近昇進して部長になったからあの人が肝いりでやってるんかも?決算やし。」みたいのが見える。で、大体当たる。
2,自分の幅がメチャクチャ広がる
営業と経理は正直真逆。その分、自分自身の幅は物凄く広がる。直接お客様とか変わって実際に売上を上げる営業から、全ての行動を最終的に記録して外部に報告する会社の中である意味一番端っこの経理。この幅は結構大きい。
端から端に異動するので、その間にある仕事もイメージが湧きやすくなったりする。営業オンリーだと他部署と関わることはほぼ無いので「本社」と一括りにした空想の世界だった。
しかし、経理にいくとバックオフィスの人事・法務・総務なんかとは関わることが多いし、マーケ、開発、経企なんかとも関わることがある。会社の全ての行動を記録するのが経理の仕事なので、各部署の行動履歴を見ながら営業とそれ以外の部署のつながりが見えてくる。
3,後の可能性がメチャクチャ広がる
営業と経理の両方を経験すると、ミクロの現場とマクロの会社全体の両方がわかっているので、やり方と努力次第ではその後どの部署にでもいける。実際にやってみて、いろんな部署と関わる中で自分のやりたいことが見えてくればその方向にまた行けば良い。
パターンとしては
①経理+α
②バックオフィス→バックオフィス
③Fly away
④come Back
⑤極道
がある
①経理+α
経理の経験を基礎として、地続きで行きやすい部署がある。
『財務』
『経営企画』
『IR』
がそれに当たる。
両方とも、経理での経験を土台としてできるより攻めの仕事。
『財務』の面白いところは「お金を外から取ってくる」というところ。営業をやってたあなたなら面白さがわかると思う。普通に億単位の資金を銀行や投資家から取ってくる。細かく言えば融資や出資なので、取ってくる訳では無いが正直その感覚がする。狩猟民族の血が抜けないあなたにはオススメのその先。
『経営企画』は会社全体の方向性を社長と考えて決めるところ。計画を立てたら実行の一部を担うこともある。経理を経験して、全体が見えるようになった段階で「自分でこれを動かしたい」と思った方は向いてるかもしれない。経理をやってるときも、ついつい色んな分析を勝手にして他部署に提案するような方には天職かもしれない。
『IR』は上場企業対投資家専用部隊。上場企業以外では必要ないが、上場企業では重要な役割。専任がおらず経理が兼任していることも多いため、自然とIR業務をする中で興味が強ければこの分野に特化していくのもあり。投資家とどの様にコミュニケーションをとり、株価を戦略的にどうしていくか?等を考えて実行する。自社の実績に左右されるため、実績に直接関わりたい人は向いてないかも。
②バックオフィス→バックオフィス
バックオフィスから隣のバックオフィスに移るのもあり。バックオフィス同士は普段からメチャクチャ関わる。超大企業はわからないが、数千人ぐらいの大企業までは普通に関わることが多いと思う。関わる中で興味が湧けば、その人にいろいろ聞いて頑張って移る努力をしてもいい。実際にやってる人に業務上でもいろいろ聞けるので、全く関係無い他の部署からよりも断然行きやすい。
実際の部署としては
『人事』
『総務』
『法務』
『広報』
『情シス』
なんかがある。
『人事』は確実に係る部署。給与計算結果のやりとりや、福利厚生費の諸々について、社保の数字が合わなければ一緒に解決したり、異動があればどれぐらい引っ越しのコストがかかりそうか?等。ただこれらは、人事の中でも人事管理・労務と言われる裏側の部分。逆に採用の部分に関わることは少ない。人事の中でも採用とそれ以外は全く別ものだということが見えたのは経理として横で働いてからだった。
『総務』は経理業務の一部を担ってたりする。バックオフィス内はそれぞれの業務がはっきりしているようで、意外としていない部分が多かったりする。社長や各部長の考えで業務範囲が変わったりすることも普通。その際に浮いてしまったボールは総務か経理に大体回ってくる。その意味ではある意味同類の部署。幅広く色んな仕事をしてみたい人にはオススメの部署。広報・情シス等がない会社は総務がそれらの役割も担ってることは多い。目の前の仕事を覚えて効率化できれば、自分の興味の赴くままに色んなところに手を出せるのは楽しいところ。逆に、あれこれ仕事が増えるのが嫌な人はやめたほうがいい。
『法務』も実は結構関わる。経理は正確に記録するため契約書を見ることが普通にある。大きくて重要なもの程契約書を見て記録する。賃貸契約や固定資産に関わる契約などは当たり前、業務委託や借入の契約なんかも結構ある。ちなみに法務部を専属で置く会社はあまりなく経理や総務が兼任していることも結構ある。1,000人以上の大きな会社や法律が重要な業界でないと無くても当たり前かもしれない。専任がいない中で誰がやる?となると、普段から契約書に関わることが他部署に比べて多い経理がやるという流れになる。
『広報』は裏側の部署だが、表に出ていく仕事をするところ。会社全体が見えるようになっていろんな発見をする中で「もっと皆に知ってほしい!」という気持ちが強くなった方は向いている。広報には大きく2つあって社内向けと社外向けの2つ。
社内向けは、社内のいろんな情報を全社に向けて発信する。全く何をやってるかわからなかったあの部署は、実はこんな大変なことをしてたんだ!というのを見つけて発信して共有して楽しい人にはおすすめ。
社外向けは、外部のあらゆる人に自社をどのように見せるか?見てもらうか?考えて発信する仕事。商品・サービスとい部分的なものではなく、会社全体に関わる。お客様はもちろんのこと、取引先、株主、投資家、銀行など影響範囲は結構大きい。
『情シス』は社内のネットワークを管理する部署。IT関連のバックオフィスという感じ。本格的なITに興味はあるけど、何か作りたいとかではない方は向いてるかも。セキュリティ対策やネット回線の安定化、社内システムの保守等が主な仕事。この道のプロは働き手が全くおらず、継続的に売りて市場なので転職はしやすい。
③Fly away
全く別の部署にチャレンジするのもあり。企画、マーケ、開発、工場、物流等は関係無いが実務で関はわる。その上でやってみたいのであればミスマッチも比較的少ない。実務で関わって何をやってるか知った上でチャレンジできるというのはやっぱり経理のいいところ。他の部署だとなかなか業務上での関わりは無い。
④come Back
営業に戻るのも全然あり。自分の行動が全社に対してどのような影響を及ぼすのか?がわかった上で営業をすると見える景色が全然変わる。前までなら無理な販促で無理やり受注を上げていたとしても、裏側をしってるから「結局この販管費は翌期にヒットして、その分翌期の予算が上がるだけなんよな、、、」見えてくる。その上でどうするかは場合によるが、そもそも見えなければ選択肢も何もない。見えるというのは大きな武器になる。
⑤経理を極める
経理を極める道。天職だと思えれば最高の結果で、経理の中にも実は極める方向性はいくつかある。税務、監査、開示、など。学問として体型だっているので、どんな分野があるかは明確で、どんどんやってみたいことにチャレンジしていける。
4,希少性が高い
営業→経理はとにかく希少性が高い。理由は真逆の仕事で、適正のある人種が違うから。経理になりたい人が営業をやることはほぼ無い。営業とかが嫌で経理になる人は結構いるほど。なので、自然と営業・経理の両方を経験している人は希少性が高い。
営業では当たり前以下のことでも、経理ではトップ10%に入るのがコミュニケーションの能力。営業を1年でもやったことがあれば知らない人に電話をするとか、お客様と話すのは当たり前のことだが、経理はその経験がない人がほとんど。
経理は意外と人と話すことが多いため、コミュニケーションの能力が実は必要とされる。特に一番大事なのは社内の他部署とのコミュニケーション。これをミスってあの部署からは何も情報が出てこないということがあったりする。
経理の採用をやった経験上、普通の営業のレベルでコミュニケーションをとれるのは10人に1人の印象。半分以上の人がコミュニケーションの部分だけで見ると平均以下なので、経理としてやっていくならこの部分は一生武器になる。
大変なこと
いいことは多いが元営業特有の大変なこともある。私が営業から経理になった当時に感じたことがこれだ。
人間関係
「営業時代の上司、同僚にむちゃなこと言われて板挟み」になることがたまにある。やってあげたい気持ちもあるが、経理をやってこれをうけちゃいけないというのもわかってる。言ってきた人が声の大きいガツガツ系だと、無駄に喧嘩になって経理の上司に出てきてもらうことも、、、
両方知っていて、両方関わりがあるからこその悩み。どちらかだけならそっちにふれば楽なのだが、両方わかるのでそうもいかない。
もう一つは「人種の違い」。営業と経理の人は正直真逆。仕事の適性が逆だからだと思うが全く違う。とりあえず基本が逆で、種類が違うと思って接しないとしんどくなる。
仕事の違い、こんなに違う?
営業だと、座って無言でPCに向かって何かをするといことはあまり無いと思う。ただ、経理だとそれがベースになる。この、1日中座ってPCを触るというのが最初はメチャクチャ苦痛だった。
とにかく眠い。自分の場合は店舗での営業だったというのもあり、1日中体は動いていた。座ってお客様と話す際も、全く体を動かさないという人はいないと思う。そこまで大げさでなくても身振り手振りはしていた。それが経理だとない、資料やPCの指差しだけでも”動いていた”と感じるぐらい何も無い。
もう1つ大きいのが「地味でコツコツやる仕事ばかり」ということ。営業だといくら売ったか?というわかりやすい指標があるので、細かな内訳はあまり関係なかったりするが、経理の仕事は1つ1つの積み重ねがほとんど。イメージとしては、商談の際の言葉遣いをノーミスでやらないといけない感じ?一言一言しっかりと丁寧に。なんとなくのイメージでザックリとということはできない。
「逃げれない」というのも大きな違い。営業だと、1商談失敗しても次また頑張ればいいが、経理にはそれがない。1つ間違えば掛け算で間違いが増えて行く。しかも時間がたっても消えてくれず、その間違いを正す以外に方法は無い。
最後に
営業から経理に。これは特殊なキャリアチェンジだと思う。ただ、特殊だからこそやってみて楽しかった。興味の幅が広い若手の方には是非オススメしたい方法。経理を1度やると会社の見え方がとにかく変わる、全体が見える。なんとなく今の世界が狭く感じる人はとりあえず簿記の勉強して部署異動の依頼をしてみては?今の会社が難しければ簿記2級取れば意外と経理にはなれる。
経理の世界でお待ちしています。