経理とは?
「そもそも経理って何?」という疑問に対して、経理のことを網羅的にまとめました。経理の言葉の定義から仕事内容(基本・守り・攻め)、経理・会計・簿記の関係や、経理・財務の違い、業務一覧から給料・年収まで。実際に現場で経理経験がある筆者がリアルな経理について書いています。
定義 ~経理とは何か?言葉の意味・定義から考える~
経理の定義は?
記録・報告する仕事!
そもそもの言葉の定義から振り返って考えます。そのために先ずは辞書・ウィキペディア・ネット記事にて言葉の意味を調べ尽くしました。結果が以下の表になります、ついでに今話題のChatGPTにも聞いてみました。
意味 | 種類 | 引用元 |
---|---|---|
1 会計・給与に関する事務。また、それを処理すること。 2 治めととのえること。 | 辞書 | goo 辞書 デジタル大辞泉 |
① きまりをつけて、ととのえること。経営処理すること。 ② 会計、給与に関する事務。また、その処理やその係の人。計理。 | 辞書 | コトバンク(精選版 日本国語大辞典) |
※掲載なし「会計」より引用。 多くの場合、会計という語は企業などの組織における会計を指し、金銭や物品の出納を、貨幣を単位として記録、計算、管理等することを意味する。これは情報の利用者が事情に精通した上で判断や意思決定を行うことができるように、経済的な情報を識別し、測定し、伝達するプロセスであり、「経理」とも称される。 | wikipedia | ウィキペディア |
経理とは、会社経営において重要なお金の管理をする部門です。 | ネット記事(会計系) | freee |
経理とは、会社の日々のお金の流れ、取引の流れを記録する役割をもった事務系の職種のことです。会社の会計にかかわる仕事で、数字として取引を記録することでお金の管理を行い、最終的には経営者や企業の利害関係者に会社の状況を報告することを目的としています。 | ネット記事(会計系) | Money Forward クラウド会計 |
経理という言葉は略称で、もともとは「経営管理」の略だといわれています。 | ネット記事(会計系) | 弥生 経理あんしんガイド |
経理とは「経営管理」の略称です。 | ネット記事(その他) | 起業LOG |
経理業務はお金の管理や計算を行うイメージがありますが、元々は「経営管理」の略です。 | ネット記事(その他) | ITトレンド |
Q1:経理ということばの定義を教えてください。 A1:経理(けいり)とは、企業や組織において、財務や会計に関連する業務を指します。経理の主な役割は、収益や支出、資産や負債などの金銭的な取引や状況を記録、整理し、報告することです。これにより、経営者や関係者が適切な意思決定を行い、組織の健全な運営を維持できるようになります。 経理業務には以下のようなものが含まれます:仕訳:取引の発生を会計帳簿に記録すること 勘定元帳:すべての会計取引を整理し、企業の財務状況を把握するための詳細な記録を作成すること 財務諸表:利益計算書、貸借対照表、現金流量表などの財務報告書を作成すること 税務申告:法定の税務申告書を作成し、税金を正確に支払うこと 給与計算:従業員の給与や賞与の計算と支払いを行うこと 予算策定:企業の財政計画を立案し、適切な資源の配分を行うこと これらの業務は、企業の規模や業態によって異なる場合がありますが、基本的に経理は企業や組織の財務管理に不可欠な役割を担っています。 | AI | Chat GPT |
Q2:経理の語源を教えてください A2:経理(けいり)の語源は、日本語の「経る(へる)」と「理(ことわり)」の2つの言葉から成り立っています。 「経る」は、時間や空間を通り抜ける、過ぎ去る、経験するといった意味を持ちます。一方、「理」は、物事の順序や秩序、整理、法則、原理などを意味します。 この2つの言葉が組み合わさってできた「経理」は、お金や財務に関する事柄を整理し、管理するという意味を表しています。経理は、企業や組織の収益や支出、資産や負債などの金銭的な取引や状況を追跡し、整理することで、適切な意思決定や財務管理が行えるようにする重要な役割を果たしています。 | AI | Chat GPT |
意外なことに媒体ごとに定義にばらつきがありました。ネット記事ではほとんどが「経営管理の略称」と出てきましたが、そうである根拠が見当たらなかったため除外します。そのため、辞書をベースに考えます。すると辞書にて共通して見られたのは「会計をする仕事」だと言えます。よって、ここでは経理の定義を会計をする仕事とします。
ここでまた新たな疑問が生まれました。「会計」とはそもそも何でしょうか?経理周りでよく使われる言葉ですが、経理の定義をはっきりさせるために、会計の言葉の定義についても調べてみます。
意味 | 種類 | 引用元 |
---|---|---|
1 代金の支払い。勘定。 2 金銭の収支や物品・不動産の増減など財産の変動、または損益の発生を貨幣単位によって記録・計算・整理し、管理および報告する行為。また、これに関する制度。 | 辞書 | goo辞書(デジタル大辞泉) |
金銭収支、財産の売買を中心とした経済的取引事象を、貨幣数値によって一定の方式により記録・計算・報告する制度ないし行為をいう。 | 辞書 | コトバンク(小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)) |
経済活動を貨幣を単位として記録・計算・総括し,その結果を伝達する技術的手段。営利的企業では,複式簿記により利潤の算定を目的として行われる。資産・負債・資本などの管理のためにも利用できる。 | 辞書 | コトバンク(株式会社平凡社 百科事典マイペディア) |
企業などの経済主体が自ら行う経済活動を記録・測定し会計情報と報告することを「会計」という。会計の目的は、会計情報の提供を受けた利用者へ説明責任を果たし、利用者の意思決定を助けること。そのため、一定のルールや形式に従う必要があります。 | 辞書 | 士業ねっと! 会計用語キーワード辞典 |
会計(かいけい、英語: accounting, accountancy)とは、委託・受託関係において、受託者がその委託者に、委託された活動の状況について説明ないし釈明(account for)する行為を言う。受託者は委託者に対して活動の記録と報告を行うことで、受託責任が適切に遂行されたことを証明しようとする。その重要性から世界共通のビジネススキルと言われてもいる一般的に支払(英語: payment)の事を「会計」と呼ぶ。 | wikipedia | ウィキペディア |
会計とは、本来は「お金や物のやりとり、それらの出入りを記録すること」を意味します。 | ネット記事(会計系) | freee |
会計とは、企業や公的機関などの経済主体が、経済活動における金銭などの収支を認識して記録し、さらに結果としての財政状況や経営成績を利害関係者に報告する一連の行為を言います。 | ネット記事(会計系) | Money Forward クラウド会計 |
会計とは、企業や公的機関などが、事業の収支、財政状態などのお金の流れを記録し、その結果明らかになった財政状態などを利害関係者に報告することです。 | ネット記事(会計系) | 弥生 経理あんしんガイド |
会計については媒体による定義の違いはほとんどありませんでした。簡単にまとめると「会社のお金の動きを記録&報告すること」だと言えます。細かく言えば、記録後の計算も含まれたり、お金が動かない場合も金銭数値で記録することはあったりしますが簡潔にするためここでは省きます。
経理、会計のそれぞれの言葉の定義は
「経理=会計する仕事」
「会計=会社のお金の動きを記録・報告すること」
でした。
この2つをまとめることで
「経理=会社のお金の動きを記録・報告する仕事」
と定義できます。
経理 = 会社のお金の動きを記録・報告する仕事
見方 ~経理を考える際の視点~
経理のどんな話が書いてる?
会社~個人まで、いろんな視点で!
ここからは経理のより深い所に入っていくのですが、その際にどの部分の話をしているのかがわからなくなることがあります。そのため、経理という仕事を考える際の視点についてここで整理しておきます。経理を考える際の視点は
①役割
②組織
③個人
④業務
⑤会社
の5つで、以下がそれを図にしたものです。
経理の仕事は⑤会社によって業務内容が大きく変わります。そして、①役割と②組織は必ずしも一致しているわけではありません。③個人はその中で④業務を日々行っています。これらの視点別での経理の詳細については後々解説していきます。
経理を考える時は「役割・組織・個人・業務・会社」の5つの視点は分けて考えよう!
役割 ~経理の役割について~
基本 ~記録&報告~
経理の役割って?
記録&報告!
経理の定義は「会社のお金の動きを記録・報告する仕事」でした。ここからわかるように、経理の基本の仕事は「記録&報告」です。具体的な内容について深掘っていきます。
『全体イメージ』
先ずは全体のイメージについて図解で解説します。
会社は日々、内外の様々な関係者(取引先、お客様、仕入先、社員等)とのやりとりが発生しており、その度にお金が動きます。
会社はその全ての活動を帳簿に記録する必要があります。
そして、記録した内容は各報告先に個別に報告しなければなりません。
これら記録~報告に関わる一連の業務が経理の基本的な仕事になります。
経理の基本的な業務のイメージはこんな感じです。ここから記録・報告の部分についてより深掘っていきます。
『記録』
会社のお金の動きを全て記録する必要があるため、全部署・全活動に経理は関わることになります。実際に関わる業務は多岐に渡り、各業務は最終的に帳簿に仕訳という形で記録されるところまでつながっています。そのためBS・PLの形で業務を分類するとイメージがしやすくなり、以下はその図です。
一番左が実際の業務で、請求書の発行や経費精算などがあります。経理以外の部署の方が関わることがあるのはこれらの具体的な業務なため、経理のイメージはこの部分が強いと思います。実はそれらの結果は仕訳という形になり、いずれかの科目に記録されます。各科目の集合体がBS・PLであり、帳簿には全ての会計情報が集まっています。
厳密には1つの仕訳で貸借で2つの科目を使用するため、1業務毎に複数の科目に記録されますが、ここではあくまでイメージをしやすくするため省いています。
『報告』
報告の部分は経理以外の部署の方からは見えにくいところです。見えにくいので何をやってるかもよくわからないところですが経理の業務の中でも特に重要なポイントです。社内外の各所に報告する義務があり、報告先も複数あります。その内容を図にしたものが以下です。
報告のための元になる情報は記録していた帳簿の情報で、それを内部・外部の関係者に報告します。内部は社長・株主、外部は税務署・投資家・世間一般となります。
会社の種類によって報告すべき先が変わったり、報告先によって頻度や内容、報告形式まで変えなければならななかったり、法律やルールもまちまちです。このあたりは大分ややこしくなるため、別記事にまとめましたので詳細はこちらを御覧ください。
経理の基本=記録&報告
応用 ~守り&攻め~
記録&報告だけ?
「攻め&守り」もある!
経理の基本の仕事は「記録・報告」ですが、現在の経理にはそれ以外の役割も必要とされており、その役割を大きく分けると「守り」と「攻め」に分類されます。記録・報告の部分は第三者的な視点で客観的に行う業務であるため「守り・攻め」には分類しにくい部分になります。
『守り』
「経理のイメージと言えば守り」という方も多いのではないでしょうか。経理以外の部署の方で、経理と関わることがあるのは、ほぼこの部分しか無いというのが大きいと思います。経費精算や、外部への支払いで間違いや不正が無いかをチェックされたり、社内の稟議が正しく上げられていなければ差し戻されたりという部分です。経理業務の全体で言うと以下の図の部分になります。
では、これらの業務は何のために行われているのか?というと「会社の資産を守る」という目的のために行われています。また、毎回の申請のチェックだけではなく「社内ルール・フローの設計・運用・管理」の全般を担っています。
会社の資産を守るという点について、誰から何を守るのか?と考えると
・誰から:社内外のミスや不正
・何を :会社の資産(会社そのもの)
になります。
社内ルール・フローの設計・運用・管理という点について、具体的な内容は。
・設計:ミス、不正が発生しないようなしくみを作る。
・運用:設計通りに間違いをせず運用を行う。
・管理:随時、ルール・フローに欠陥や改修が必要無いかチェックし、必要があれば改修する。
となります。
守りの経理について、詳細はこちら。
『攻め』
『攻めの経理』とは、会社にプラスを生むことができる分析・提案がそれにあたります。例えば販管費を一通り調査して、必要なさそうなものを各部署に確認しコストカットするというのがこれにあたり、コストを下げたという意味で直接事業にプラスの影響を与えています。
『分析』はBS・PL等の会計情報を元に行います。気になる点があれば、各部署からより詳細な情報をもらったり、元の契約書を見に行けば正確な情報がすぐわかります。売上や粗利等も経理の視点で見てみると、現場で使っている数字とズレてることもよくあり、その点に提案できるポイントが隠れていたりします。
『提案』は分析して見つけた結果を各部署に確認して共有します。分析というレベルで無くて「普段通り仕訳を切っていたらおかしなものを見つけた」というだけでも十分です。同じようなサービスの費用が今月から2種類になっているので内容を詳しく聞いてみたら、古い方は解約漏れだったなんてことが結構あります。これもコストカットの一つで、何もしなければ1年ぐらい放置なんてことはあるあるです。
攻めの経理について、詳細はこちら
守り:「設計・運用・管理」 攻め:「分析・提案」
立ち位置 ~全社視点での経理の役割~
会社の中での立ち位置は?
第三者的なことが多いかな?
経理の役割を考える際、会社全体から考えるとより理解が深まる。ここでは会社には目標があり、その目標を達成するために日々PDCAサイクルを回して活動しているとし、そう考えた場合の経理と各部署の役割について考えます。
会社が目標達成のために活動していると考えた場合
①目標設定(Action)
②計画立案(Plan)
③実行(Do)
④確認(Check)
を繰り返していると考えることができ、それを図式化したものが以下になります。
社長が全社の目標を設定し、それにそった計画を立案する。その計画に沿って各部署が実行し、その結果を経理が記録し、社長に報告するという流れになっています。
全社の活動から考えた場合、経理の役割と立ち位置は結果の確認部分になり、社内の部署ではあるものの、第三者的な視点・役割であることがわかります。
経理の立ち位置=第三者視点より
組織 ~部署としての経理~
組織としての経理についてです。組織としてどのような階層になっているのか?会社の一部署としてどういった構造で動いているのか?基本的な役割と業務がズレるというのはどういうことなのか?等について詳しく解説していきます。
階層と構成
どう別れてる?
管理職・正規・非正規で大きく違う
経理組織の階層と構成について。階層は上下の違いで、構成は人数割合の違いです。経理組織の上下の階層分けはアルバイト、派遣、一般、係長、課長、部長となっており、図式化したものが以下になります。
基本的な組織内の階層で並べましたが、経理の場合は会社によって人数構成が大きく違うためこの通りでないことが多いです。
経理組織の特徴として
1,人数が少ない
2,階層を飛ばしての関わりが多い
3,バックオフィスの別部署の兼任がある
4,下に行くほど人数が多いわけでもない
5,グループ会社を本社でやったり、やらなかったり
があり、それぞれの特徴について詳しく見ていきます。
1,人数が少ない
経理組織は基本的に人数が少なく、上場企業でも10人以下のことも多く、社員数が5000人を超えるような超大企業でなければ、大抵の場合1つの組織として動いており経理部内に複数の組織があることはあまりありません。社員数が100人以下の小さな会社の場合はバックオフィス全体が1つの部署として動くことも多いです。
2,階層を飛ばしての関わりが多い
人数が少なく組織が小さいため、他の部署に比べると階層を飛ばしての関わりも多いです。
3,バックオフィスの別部署の兼任がある
バックオフィスならではの特徴ですが、小さな会社だとバックオフィス内の別部署の兼任は結構当たり前にあります。
4,下に行くほど人数が多いわけでもない
1人の上司に対して複数人の部下という綺麗なピラミッド型組織になっていることは意外と少ないです。部長、課長が1人ずつで、社員が5人、派遣が1人みたいなことも結構あります。どこが多くて、どこが少ないかは会社の業態によっても変わってきます。
5,グループ会社を本社でやったり、やらなかったり
グループ会社の経理も本社で一括して行ったり、行わなかったりします。これにより組織の構造も大きく変わります。本社で一括で行う場合は経理組織が大きくなり、本社担当と子会社担当に分かれることがあります。逆に本社で行わない場合は、子会社経理は子会社で全て行い情報のみ本社とやりとりという形になります。そのため、組織上で本社と子会社に繋がりはなく、子会社経理は子会社側のバックオフィスメンバーの1人という位置づけになります。また、その間のパターンもあり、組織上は本社で一括しているものの、子会社経理には本社から数名が出向というパターンです。この様にグループ会社がある場合は経理の組織構成が大きく変わります。
※別記事執筆予定(経理組織の階層と構造)
経理の階層 = 管理職・正規・非正規で大きく分かれる
構造
構造は?
3階建て
経理としての役割を果たすため、組織の構造は3階建てになっています。
1階:データ(情報収集)
2階:編集・記録
3階:報告
という流れで、それを図式化したものが以下です。
記録の対象が全社なため、全部署から先ずは元になる情報を集めてきます。そして、その集めたデータを仕訳の形になるように編集し帳簿に記録します。そして最後に記録内容を元にして各報告先ごとに必要な内容を穂国します。
1・2階は経理の基礎の部分になり、ここに過不足や間違いがあると、その上も自動的に間違うことになります。
※別記事執筆予定(経理組織の階層と構造)
経理の構造は3階建て (1階:データ収集 2階:編集・記録 3階:報告)
役割と適正
経理の中にも役割が?
そう!結構色が違う役割が混在
経理の組織内における役割は大きく分けると専門性・運用・仕組の3要素があります。それぞれに特徴があり、適正のある人材も変わってきます。それを図式化したものが以下です。
『専門性』
専門性が必要になるのは特に報告の部分になります。相手により内容や法律・ルール、報告形式等がバラバラで単純な処理ではなく、論点を整理してどう対処するか?等を専門的な知識の元に考える必要が出てきます。そのため、この部分については難しいことを考えることや、勉強をすることが区ではない人に適正があると言えます。業務としては数は少ないですが、一つ一つが重く個別性が高いことが特徴で、発生の頻度や量もコントロールできないことがほとんどです。
『運用』
経理の一番基礎になる部分です。経理と言えばこの部分をイメージされる方がほとんどだと思います。決まったルール通りに、期日内に、間違いをせずに継続的に処理をし、仕組み全体の運用を行う役割です。一般的な経理のイメージ通り、ルーチンワークをミス無く期日通りに安定的に行える方が向いています。変化が苦手な人などが多いイメージです。
『仕組み』
経理の仕事はほとんどが仕組みの上に成り立っています。システム以外でもマニュアルがあるものは人が行っていたとしても全て含めて仕組みと言えます。そのため、根本の仕組みをどう作るか?で結果の精度や、処理にかかる工数等が大きく変わってきます。仕組みを改善したり、システムを入れ替えることで工数が半減したということはよくある話です。この部分は仕組みを作りたい人、無駄を排除したい人等が向いています。ただ、変化を起こす側の思考であるため、ルーチンワークが苦手・嫌いという方が多く、経理の中では少数派です。
経理内の役割は専門・運用・仕組の3つ
個人 ~キャリア・年収から特徴まで~
年収
年収って?
ザックリこんな感じ
経理の年収はザックリだとこんな感じです。
会社、地域、経験年数や資格等の様々な要因で変わってきますが、ザックリこれぐらいのイメージで大きくハズレてはいないと思います。
経理事務
処理がメインとして採用をする場合、経理の中では経理事務と読んで採用する。基本的な経理処理業務がメインで、キャリアアップは前提にしていないことが多く派遣・アルバイトでの採用で年収は300万以下であることが多い。社員として働いている場合は300~400万円ぐらいのイメージで、一般的な処理だけではなくある程度考えて行わなければならないものも業務の中に入ってきます。
一般(メンバー)
正社員として社内でのキャリアアップを前提に採用された場合がここにあたり年収は400万円前後のイメージです。処理だけではなく、各関係者への報告等も対応していく必要があります。会社によって違いはあるものの、経理の全体像を把握するまで一通りの業務を経験していくことが多いです。
係長(リーダー)
経理の全体像が一通りわかっている状態で、年収は500万円前後のイメージです。個別の業務についてメンバーに指示を出したり、イレギュラーへの対応等も要求されます。ここまではとにかく経理としての守備範囲を広げることが重要になります。社内での評価は会社によって違いますが、転職時の市場価値は守備範囲が広ければ広いだけ上がります。
課長(マネージャー)
ここからが管理職になり、経理全般が対応できることは大前提になります。会社によって変化が大きくなりますが最低600万円~のイメージです。経理としてキャリアアップを目指す場合はここまでに上場企業で監査・開示・税務・IR・財務・連結等の業務を一通り経験しておくとスムーズです。逆にここまでに非上場企業での経験しかない場合、上場企業への役職を維持しての転職は難しくなります。ここから先は守備範囲以外のポイントが重要視され、会社の規模や組織形態により大きく変わってきます。
部長
課長以上に会社の規模や組織形態に大きく左右されますが、最低800万円~のイメージです。大企業で経理が部として独立している場合もありますが、経営管理部として経理・財務・IR等が同じ部内にある場合もあり、その場合はそれらの部署も含めての部長になります。そのため、超大企業でなければ財務やIRも守備範囲として必要なことが多く、規模が小さくなると人事・総務・広報等も範囲内であることもあります。またここからは経営全体への貢献度も重要視されます。
これを見て、自分の年収が安い・高いと感じた方は是非一度転職エージェントと話して見てください。今までのキャリア・スキルを元に自身の大体の市場価値を教えてくれます。高いと思った方は要注意で、このままいくと市場価値が上がらず転職したいと思った時に年収が大きくさがることもあります。今の時点でどうすれば市場価値が上がるかを確認しておくことで、今後のキャリアの対策ができます。転職が初めての方はとりあえずMS Japanに登録すれば大丈夫です。
管理職までは、守備範囲が重要!
キャリア
キャリアの伸ばし方は?
守備範囲が重要!
詳しくはこちら!
◯向いてる人 ✕向いてない人
向いてる・向いてないは?
結構ある!
経理の仕事は特徴が結構あるので、向いてる人・向いてない人が結構分かれます。向いてないポイントが3つ以上当てはまる人は経理はやめておいた方が良いかもしれません。逆に、向いてるポイントが3つ以上当てはまる人にとっては天職かもしれません。ポイントを図にしました。真ん中が一般的な経理業務の特徴で、左が向いてる人、右が向いてない人です。
以下、それぞれの詳細について解説していきます。
『◯向いてる人』
①安定が大好き
安定して仕事がしたい人にはとても向いてる職種です。スケジュールが決まっていて、やることも毎回同じなため、変化が少なく毎日安定した刺激の少ない仕事です。
②同じ仕事に飽きない
経理事務の特徴はとにかく同じ仕事が多いです。毎日、毎月発生する業務で9割以上の時間が占められます。同じ仕事に飽きない人にとってはとても向いてる仕事です。
③事務仕事大好き
経理事務はほとんどが事務仕事なため、9割机に座ってPCでの作業です。ずっと座っていても全然大丈夫な方は向いています。
④数字、PCに抵抗ない
上記の通り9割机に座ってPCでの作業で、扱う内容はほとんどが数字です。数字が好きでPCにも抵抗がない人には向いてる仕事だと言えます。
⑤黙々、コツコツ、きっちりタイプ
経理の仕事全般ですが、コツコツ1つ1つ間違いなく行わないといけない仕事が多いです。かつ、PCでの作業がほとんどなため、1日の半分以上は黙って黙々と作業しています。なので、黙々とコツコツした作業を一つ一つキッチリこなせる人はとても向いていて、求められます。
⑥口硬い
実はこれが一番大事です。経理には会社の情報が全て集まってくるため、見たくなくてもいろんな情報が見えてしまいます。かつ、会社の会計情報というのはとても重要な情報であるため、例え相手が社内の同僚であっても絶対に言ってはいけない情報のオンパレードです。
そのため、口が硬い人というのは経理事務の絶対条件であり、そういう人が経理事務に求められます。
⑦やり切る
多少精度が悪かったとしても、期限内にやりきる必要が経理にはあります。会社のお金の動きを全て時間内に記録しなければならず逃げることはできません。なので、多少精度が悪かったとしても最後まで逃げずにやりきれる人は向いており、評価も高いです。
『✕向いてない人』
①変化が欲しい
仕事に変化を求める人は向いていません。経理事務の仕事はほとんど変化がなく、毎日・毎月・毎年同じ仕事が9割以上を占めます。なので、ある程度やったら違う仕事がしたいと思う方は向いていません。
②同じ仕事飽きちゃう
経理事務の仕事は毎回同じです。9割以上が同じ仕事なため、同じ仕事はどうしても飽きてしまう人は向いてません。
③ずっと座ってるのしんどい
経理事務の仕事は机に座ってPC作業が9割です。なので、ずっと座っているのが耐えられない、体を動かして仕事がしたいという方には向いていません。
④数字、PC嫌い
経理事務の仕事は机に座ってPC作業が9割で、かつ扱う内容は殆どが数字です。なので、数字・PCに抵抗がある人は向いていません。
⑤話しながら、パパっと、なんとなくタイプ
経理の仕事全般ですが、コツコツ1つ1つ間違いなく行わないといけない仕事が多く、かつPCでの作業がほとんどです。そのため1日の半分以上は黙って黙々と作業しています。なので、話しながら仕事がしたかったり、細かい作業が苦手だったり、なんでも雰囲気で対応しちゃうタイプの人は向いていません。
⑥口軽い
これが一番大事なポイント。重要な情報をしったら、ついついいろんな人と共有しちゃう人は絶対ならないでください。向いてない以前に、大きな問題になったり、解雇されたりされる可能性がとても高いです。経理は仕事柄、会社の情報が全て集まるため、見たくなくてもいろんな情報が入ってきて、見ないということはできません。
⑦逃げる
会社のお金の動きを全て時間内に記録しなければならず、逃げるという選択肢はありません。営業なら「Aのお客様が無理ならBのお客様に」と目標さえ達成できれば変更できるのですが、経理の場合「広告費不明のため、今回は交通費を詳細に」と変えることはできません。記載が無ければ虚偽とみなされ、遅れれば問答無用に罰金が発生します。
◯メリット ✕デメリット
メリット・デメリットは?
これも結構ある!
経理の仕事は特徴が結構あるので、働いた場合のメリット・デメリットもいろいろあります。以下、仕事の特徴から言える経理のメリット・デメリットを図にしました。
以下、それぞれの詳細について解説していきます。
『◯メリット』
①安定
仕事はとても安定しています。スケジュールが決まっていて、毎回やることも同じなため、全体的に変化が少なく安定しています。
②予定が立てやすい
スケジュールが決まっているため、予定が立てやすい仕事です。土日に仕事があることはまず無く、定時後に連絡があることもありません。オンオフをしっかり分けて働けます。
③やる時・そうでない時がはっきりしてる
決算という繁忙期はありますが、いつまでに終わらせないといけないというスケジュールが決まっています。そのため、急に忙しくなったりということはありません。逆に決算以外はとても穏やかな時間が流れていることがほとんどです。
④着実に給料が上がる
一般事務と違い、専門性がある職種と考えられているため、着実に給料は上がります。できることが増えていくと確実に市場価値が上がり、給料が上がっていきます。
『✕デメリット』
①変化がない
スケジュールもやることも決まっているため、業務上の変化はほとんどありません。変化があるのは新規で何かを始める時のみで、刺激は少なめな仕事です。
②休めない、休みにくい日がある
スケジュールと期限が決まっているため、決算など絶対にやらないといけない仕事がある時期は休めないことがあります。
③一時的に仕事に波がある
決算期は経理全体が忙しくなります。普段の業務に決算業務がプラスで発生するため、一時的に業務量が増えることがあります。
④ゆっくりしか給料は増えない
営業のようにわかりやすい指標がないため、給料はゆっくりしか増えていきません。できることが増えて言っても急に年収が増えることはほとんどありません。
なり方
未経験からなるにはどうすれば?
転職・部署異動・新卒の3パターン
経理になるには大きく分けると3つのパターンがあり
1,転職
2,部署異動
3,新卒
です。図にしたものが以下になります。
基本的にはどのパターンでも簿記2級の取得が基本になります。年齢や現職の職種等にもよって難易度は変わります。未経験から経理に転職する場合は若ければ若いほど可能性は高く、20代後半からは難易度が上がります。
別記事にて詳しく書いていますので、詳細はこちらを御覧ください。
経理になるなら、簿記2級!
業務 ~経理のリアルな実務~
業務の分類 ~日次・月次・決算~
仕事の種類は?
ルーチンワークを期間で分けてる
経理業務はルーチンワークがメインで、定期的に業務が発生します。なので、業務を発生の頻度毎にひとまとまりとして分類することが多いです。毎日・毎週・毎月といった感じです。分け方と内容を以下に記載しました。
大体のイメージはこんな感じです。
そして、業務のまとまり毎に実は特徴があり、それらをまとめたのが以下の図になります。
基本的に、頻度が少なくなるほど、1回あたりの業務の大きさは大きくなり、複雑性や難易度も上がっていきます。
経理の仕事は期間ごと
経理の実務 ~リアルな1ヶ月スケジュール~
実際の経理はどんな感じ?
1ヶ月スケジュール書いてみた!
経理業務は半分以上がルーチンワークです。月によって多少の変動はありますが、基本的には同じです。月初に前月の数値を固め、月次が終わると基本的には時間が開きます。決算月の場合は月次後にそのまま決算に突入して、月末までという流れです。そして、月末には翌月の準備や棚卸しがあります。それらの内容を図にしたものが以下になります。
このループを毎月行っているイメージです。ベースがルーチンワークというのはこれを見れば理解できると思います。日次の業務も行う場合がありますが、日次の業務は経理事務のメイン業務となるため、ここでは省いています。経理事務については別記事でまとめています。
毎月半分は同じ仕事
Q&A
- 経理とは?
-
会社のお金の動きを記録・報告する仕事